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山形県米沢
旬の時期:1月〜2月

 「雪菜」は、全国でも珍しい雪の中で育つ軟白野菜です。
 雪菜は従来「かぶのとう」といい、そもそもは米沢市上長井地区特産の「遠山かぶ」の “ とう(花茎) ” を食していました。貴重な冬の野菜でもあり、正月の風雅な味覚として珍重されてきました。
 雪菜という字のごとく、雪の中から掘り出され , 真白で歯ざわりの良い菜の味は、雪国ならでは味ともいえます。おひたし、ひやしる(冷汁)、浅漬け、粕漬に、正月の食卓に風味を添えてきました。
 山形県に鉄道が敷かれ交通が発達すると、冬でも県外から青々した新鮮な野菜が入荷するようになり、雪菜の生産は衰え昭和になって一般市販からほとんど姿を消し、幻の野菜とまで言われるようになりました。
 雪菜の歴史は、上杉家の移動と共に、越後から家臣団と一緒に米沢へ土着したものではないかと伝えられています。栽培方法は昔と変わらない方法で、八月下旬に種をまき、十一月中旬に寄せ植えしてワラで厳重に囲い積雪を待ちます。雪が積もって後、寄せ植えした菜とワラが腐り。その発酵熱の助けを受けて新しいトウが立ち、雪の中で軟化されながら伸長します。寄せ植えした菜の約 10 %しか生産されませんから非常に貴重な野菜といえます。大自然が育み、厳しい冬を旬とする伝統の野菜「雪菜」には、雪と共に生活する先人の知恵と、雪の中で伸びる強靭な生命力が宿っています。
 近年になって風雅な雪国米沢の味としてその価値が見直されています。

 

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