(財)塩事業センター(東京都品川区大井1丁目47番1号、TEL03・5743・7711)では、2010年・家庭で役立つ「塩」学入門として「漬物と塩の美味しい関係」と題して研究発表を行いました。漬物は塩とは切っても切れない関係にありますが、とかく塩分の取りすぎが高血圧の原因になるとの観点から、漬物=高塩食品として摂取を控える傾向があります。ところがこの発表で研究調査部の清水徹氏は平成18年の厚生労働省が出している「国民健康・栄養調査」に基づいて分析したところ以外な結果となったことを明らかにしました。その中では一人1日当たりの食塩摂取量が10・8グラムとなっていますが、そのうち漬物を摂っていることから摂取する塩はわずか、0・6グラムしかなく、全体の5・7パーセントを占めるに過ぎないことが分かりました。そして、漬物が塩分の過剰摂取の原因とはなっていないと指摘、その結果は自分でも驚くくらいであると説明しました。例えばパン・麺類が全体の7・5パーセント、魚介・水産加工品9・4パーセントであり、漬物が高塩摂取の原因ではなく、他の食品の方がはるかにその原因になっていることが明らかとなりました。実際、現在の漬物は製造技術の高度化でかなりの低塩化が進んでいます。漬物は塩分が高いので控えようという形ですぐ槍玉にあげられるのはどうもおかしいことが分かります。漬物は食生活においてそれだけ身近で分かり易い存在なので、却って塩分の摂りすぎの対象となったのかもしれませんが、現在は野菜を美味しく加工した健康的な食品として見直しも進んできていますし、こうした誤解を改めていく必要があるかと思います。世界的にも和食が健康で長寿の背景にあると人気も出ていますし、漬物はその最たるものです。改めて漬物の良さを考える上で貴重なデータとして、掲載いたしました。
(文責 (株)食経 阿部正一) |